母1
建具屋を営む父、父と仲のいい母の元に生まれた。
祖母と母との関係も良好。
面倒見のいいしっかり者の母と優しく大らかな父。
教育係は母。叱る時は叩いたり外へ締め出すなど、言葉より手が上がった。
小学生、兄がブラスバンドへ入ったので憧れて自分も入部するも、吹いて倒れて打楽器へまわされる。
発達障害などの診断は受けていないが、何故か中学年まですうがくの時間は特別支援学級で授業を受けていた。
中学までドラムを続けた。
小学生5年、大好きだった父がガンを患う。建具屋を閉め、母が仕事を辞め毎日病院へ通う。その間家では祖母と兄と自分の3人で生活をしていた。
小学生6年、父が他界。母が泣き崩れ自律神経失調症になる。白髪が増え痩せた。
中学、母が復帰しスナック経営を始める。学校が終わり家に帰るとシャワーを浴びに帰宅した母と出くわす。シャワーを浴びて化粧をし、ご飯を食べる間もなく再び職場へ出掛けていく。仕事終わりに帰る家があるらしく毎日夕方か昼帰り。
楽器が出来て頭も良い兄が少し離れた吹奏楽の強い農業高校へ入りたがる。しかし頭がよかったために母に無理矢理説得させられ負けて地元の進学校へ入学。約1年で不登校になり引きこもる。兄のリストカットを目撃する。酒を飲んだりタバコを吸い出していた。
自分は地元の商業高校へ入学。部活には入らず、祖母から家事を引き受け、炊事は自分でしていた。放課後はまっすぐスーパーへ行き夕飯と明日の弁当の分を買って帰る。母とは相変わらずすれ違いの生活。
兄が高校を辞めた。
ある日母が見知らぬ男性を連れて帰ってきた。
「紹介するわ、こちら××さん。今日からあなたの新しいお父さんよ。○○会社の社長さん」
まぁ予感はしていたし何度か玄関先に迎えに来ているところを見かけていた。
ある時友達のMちゃんが怒って泣いていた。
「私のお父さん、返してよ。」
新しいお父さんは「元」既婚者だった様だ。